「好きだ」
そう言われた瞬間は、嬉しさよりも驚きが勝っていた。
あの三成が照れながら告白してくるなんて、誰が想像出来ただろうか。
頬をうっすらと朱に染めたまま、いつも以上にしかめっ面を顕著にして、それでいて緊張に身体を強ばらせて。
そのらしくない姿に、目を見開いて三成を凝視してしまった。
珍しいものを見ている、そう思うと、ただ素直に返事をするのも勿体無い気がした。
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長く沈黙が続く。
おそらく三成には、時間がより長く感じられているだろう。
しかし、まだ。まだ返事には早い。
そう思った時
「……何か、言え…!」
急に三成の声色が変わった。
色は消えて、泣きそうに歪んだ表情が睨むようにこちらを見ている。
握りしめられた拳も、小刻みに震えていた。
「……三成」
私も好きだよ、とか
同じ気持ちだったんだね、とか
そういった言葉は出なかった。
気付けば近付いて、彼に手を伸ばしていたから。
「……ッ!?」
息を呑む三成に構わず、私は彼を更に引き寄せた。
それはまるで子供にするような、端から見れば酷く滑稽な抱擁だったけれど。
気持ちを込めて、
――大丈夫だから
強く
――不安にさせてごめんなさい
強く、強く
――すき
この想いと同じだけの力で
――好き…
こみ上げるものを抑えきれず、涙が滲む。
一度嗚咽が漏れると止まらなかった。
すると今度は、先ほどまでひとつの身動ぎもしなかった三成が、私を自らの胸へと導く。
入れ替わった体勢。
入れ替わった立場。
支えていたつもりが支えられているということ。
想いが通じ合うということ。
感じたことのない幸福感に、また涙が溢れた。
離れたくない想いが込める力を強くする。
そしてその瞬間、私には三成が必要なのだと。彼無しでは生きられないのだと。
そう、悟った。
了。
脚色し過ぎたかしら…
三分の二くらい即興の付け足しです。
どんな風に付け足したかは本編ができるまでのお楽しみw←
名前出さない話書くの楽しいなっ(*´ω`)
それではー
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